ランダムウォークへの挑戦⑪ | 零号機の性格診断──Chapter1「観測」 完結(2026/8/1)

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ここまでPythonを使って、零号機を様々な角度から分析してきました。

月別成績、時間帯、曜日、保有時間、連勝・連敗、ドローダウン……。

一つ一つを見るだけでは見えなかったものも、全体を俯瞰すると、このシステム「零号機」の性格が少しずつ見えてきます。

今回はChapter1「観測」の締めくくりとして、零号機の特徴を整理し、次章である「学習」へ進む前の現在地を確認します。

零号機のプロフィール

分析期間2015年1月6日~2026年7月24日(約11年6か月)
初期資金50,000円
最終資産272,065円
総利益222,065円
利益率+444.1%
総取引数1,720回
年間平均取引数約149回
月平均取引数約12回
勝率62.25%
PF1.35
最大連勝11回
最大連敗9回
最大ドローダウン額29,742円
最大ドローダウン額発生時の率約24.1%
最大相対ドローダウン率約41.9%
最大DD率(初期資金比)59.5%

一見すると優秀なシステムに見えます。11年半で5万円→27万2千円。約5.4倍。利益率は444%。勝率も62%。PFも1.35。

数字だけを見ると、「十分運用できそう」という印象を受けます。

しかし、今回の分析を通して分かったのは、総利益や勝率だけでは、システムの本当の姿は見えないということでした。


零号機の性格診断

①コツコツ型

資産推移を見ると、一直線ではなく

利益更新→少し下がる→利益更新

を繰り返しています。

零号機は、一度の取引で大きな利益を狙うシステムではありません。小さな利益を積み重ねながら、時間をかけて資産を増やしていくコツコツ型のシステムだと考えられます。

➁ドローダウンは決して浅くない

最大ドローダウン額は29,742円でした。

ただし、この金額を初期資金5万円と単純に比較して、「約59.5%の下落」と評価するのは適切ではありません。

最大ドローダウン額が発生した時点では、資産はすでに約12万3,600円まで増加していました。そのため、その時点の過去最高資産に対する下落率は約24.1%です。

一方、割合として最も深いドローダウンは別の時期に発生しており、最大相対ドローダウン率は約41.9%でした。

つまり零号機は、長期的には利益を伸ばしているものの、運用途中で資産が4割近く減少する局面もあったということです。

これは決して軽い下落ではありません。

③回復力は高い

ドローダウンは大きいですが、ほぼ毎回最高益を更新しています。資産曲線を見ると右肩上がり。これは大きな強みです。

④長時間保有が弱点

保有時間別の分析では、1~4時間で決済された取引が主な利益源となっていました。

一方、4~24時間保有した取引では、成績が悪化しています。

この結果から、零号機はエントリー直後の値動きには優位性があるものの、ポジションを長く持ち続けるほど、その優位性が薄れていく可能性があります。

零号機は、長く待てば利益が伸びるタイプではない。

保有時間に上限を設けることは、Chapter2で検証すべき改善案の一つです。

⑤勝率は高いが万能ではない

勝率62%。しかし木曜日や長時間保有では苦戦。
つまり、どこでも勝てるシステムではありません。

⑥精神的には少し辛いシステム

最大DD(ドローダウン)が約3万円。しかも回復まで約1年かかります。
忍耐力が必要です。

まとめ

得意

  • 勝率が約62%ある
  • 長期では資産曲線が右肩上がり
  • 1~4時間の取引が利益源
  • 最大連勝は11回
  • ドローダウン後の回復力がある
  • 約11年半の長期データで利益を残している

苦手

  • 4~24時間の長時間保有
  • 木曜日の取引
  • 相場環境による成績のばらつき
  • 最大相対ドローダウン率が約41.9%
  • ドローダウンからの回復に約1年かかる
  • 短期間では成績が停滞することがある

レーダーチャート

項目評価理由
回復力★★★★★約11年半の中で何度もドローダウンを経験しながら、長期的には最高益を更新している。
利益成長性★★★★☆初期資金5万円から27万円超まで成長し、資産曲線も長期では右肩上がり。
安定性★★★☆☆勝率62.25%、PF1.35で利益は出ているが、深いドローダウンや長い停滞期がある。
勝率★★★★☆約6割の取引で利益となっており、比較的高い勝率を維持している。
環境適応力★★☆☆☆曜日、時間帯、保有時間によって成績差があり、相場環境の影響を受けやすい。
耐久性★★★☆☆約11年半生存して利益を残している一方、最大相対ドローダウン率は約41.9%に達している。

Chapter1でわかったこと

Chapter1では、EAを評価するためには、勝率やPFだけでは不十分であることを学びました。

例えば、勝率62.25%という数字だけを見ても、約1年間にわたって過去最高益を更新できない期間があることは分かりません。

また、総利益22万円という数字だけを見ても、運用途中に資産が4割近く減少した時期があることは分かりません。

EAを評価するためには、次のような指標を総合的に見る必要があります。

  • 総利益
  • 勝率
  • PF
  • 分析期間
  • 取引回数
  • 資産推移
  • 最大ドローダウン額
  • 最大相対ドローダウン率
  • 回復期間
  • 時間帯別成績
  • 曜日別成績
  • 保有時間別成績
  • 連勝・連敗

Chapter1は、零号機の成績をただ眺めるだけではなく、システムを多角的に理解するための「健康診断」でした。

Chapter2へ

これまでは「観測・分析」のフェーズでした。人間に例えるなら、健康診断です。

しかし、健康診断によって弱点が見つかっても、それだけで健康状態が改善するわけではありません。重要なのは、その結果をもとに改善策を考え、実際に検証することです。

そこで、次回からはChapter2「学習」に入ります。
Chapter2では、ATRやトレンド・レンジなどの相場環境と成績の関係を分析し、「どのような条件では勝ちやすく、どのような条件では負けやすいのか」を探っていきます。

そのうえで、時間帯フィルター、曜日フィルター、保有時間制限などを導入した場合に、成績がどのように変化するのかを検証します。

次回予告

Chapter1は単なる分析記事の集まりではありません。

約11年半・1,720回の取引を通して、「零号機というEAの性格を理解する旅」でした。

ここで得られた知見を土台として、次章では「改善」、その先には「人格」、そして最終目標である「MAGIシステム」へと挑戦を進めていきます。

ランダムウォークへの挑戦は、ここからが本番です。

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