西南戦争最大の激戦地「田原坂(たばるざか)」。
鹿児島旅行に行く前に、西南戦争関係の本をいくつか読もうと思い購入しました。
西南戦争は知っていましたが、正直、田原坂の戦いについてはこの本を読むまで知りませんでした。
海音寺潮五郎の『田原坂』は、著者の祖父や西南戦争関係者から聞いた逸話をもとにした短編集となっています。
『田原坂』はどんな本か
本書は、西南戦争の戦闘そのものだけにフォーカスを当てているのではなく、西南戦争に関係して人生に影響を受けた一般の人々にスポットが当たっています。
そのため、西南戦争によってどのように人生に影響を受けたのか、従軍した一兵隊や町民の視点からをリアルに描写することで、西南戦争を外側から理解することができます。
短編集となっており、薩軍に従軍した兵はもちろんのこと、官軍側の兵、志願したい子供、町の農民、酌婦、と様々な立場からこの戦争を追体験することができます。
読んで良かったと感じた3つのポイント
① 登場人物が“歴史上の名前”ではなく“人間”として描かれている
西南戦争の歴史小説となると、西郷隆盛や桐野利秋など、誰もが知る人物を中心に描かれることが多いです。
本書は、名もなき兵士や城下士、農民などがそれぞれの章の主人公になっているため、兵士や庶民からみた西南戦争への覚悟や迷いを体験することができます。
それぞれの短編集は逸話をもとにしてあり、描写がリアルに想像できるため、西南戦争時の鹿児島の雰囲気を感じ取ることができます。
② 田原坂という場所の重みを知ることができる
教科書的には「激戦地」の一言で片付けられてしまう田原坂ですが、実際には雨・泥・砲火が入り乱れ、“戦いの持久戦”という過酷さが続いた場所でした。
その状況が海音寺潮五郎の文章によって立体的に立ち上がります。
③ 現地を歩きたくなる
これは個人的に一番大きかった点です。
本書を読んで「いつか必ず歩きたい場所」の1つになりました。
私はこの本を読んで熊本旅に行くことを決めました。
読む前に知っておくと楽しめる背景
西南戦争は、明治政府が中央集権国家をつくっていく過程で生まれた“最後の武士の反乱”とも言われます。
その最大の戦いが「田原坂の戦い」であり、ここを押さえると明治初期の政治・軍事の動きが一気に整理されます。
歴史小説に慣れていなくても、本書は兵士や農民視点での短編集ですので、最低限「薩摩 vs 政府軍」という構図さえ知っていれば読みやすいです。
こんな人におすすめ
- 西南戦争を物語として理解したい
- 歴史の教科書には出てこない庶民にとっての西南戦争とはどのようなものだったのか知りたい
- 海音寺潮五郎の作品が好き
- 次の旅行先を“歴史つながり”で探したい
- 史跡巡りが好きで、現地を深く味わいたい
歴史に詳しくない人でも読みやすく、逆に歴史好きにはしっかり刺さる絶妙な作品です。
『田原坂』はこちら
海音寺潮五郎の代表作の一つとして長く読み継がれている本です。
気になる方は、旅のお供に一冊どうぞ。
まとめ
海音寺潮五郎『田原坂』は、単に“戦いの描写がすごい本”ではなく、明治という時代の転換点を生きた人々の姿が鮮やかに浮かび上がる一冊でした。
次に熊本を訪れるときは、必ず田原坂を歩きたいと思わせてくれる本です。
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