体験記|非エンジニアでも合格!情報処理安全確保支援士(SC)令和7年度春試験 合格までの道のり

情報処理安全確保支援士 資格勉強

令和7年度春、情報処理安全確保支援士(以下「支援士」)の試験に合格しました。

私は現在、ITとはまったく関係のない職種で働いています。理系出身ではありますが、エンジニア経験はゼロ
まさに「非エンジニア・未経験者」からのスタートでした。

この記事では、基本情報技術者試験・応用情報技術者試験をすっ飛ばして支援士に挑戦・合格した体験談をお届けします。これから受験を検討している方の参考になれば幸いです。


きっかけはセキュリティへの興味

もともと情報セキュリティに興味があり、IPUSIRON氏の「ハッキング・ラボのつくりかた」を必死に読みながら独学していました。(最初はLinuxすら未経験でした)

また、職場の都合で令和6年度にITパスポートを取得。その後「次に何を受けようか」と模索していたときに出会ったのが、セキュリティに特化した唯一の国家高度資格=情報処理安全確保支援士でした。

調べるうちに、

  • セキュリティの体系的な知識が身につく
  • 将来的なキャリアにも役立つ可能性がある

と感じ、情報処理系の資格である「基本情報技術者」も「応用情報技術者」資格も持っていませんでしたが、「どうせなら一気に支援士へ!」と受験を決意しました。


令和6年度秋試験:初受験は不合格。でも希望は残った

初受験は令和6年度秋。試験まで3か月を切っていた状態からのスタートでした。

使用教材

●『情報処理教科書 高度試験午前Ⅰ・Ⅱ』(翔泳社)

こちらの本は主に午前Ⅰ対策として使用しました。高度資格の区分別に解くべき問題がマークされており、支援士資格対象の問題のみを解くことができるので効率的に学習を進めることができました。

●『情報処理安全確保支援士「専門知識+午後問題」の重点対策』(ITEC)

こちらの本は主に午前Ⅱ及び午後対策として使用しました。この本に付属の午前Ⅱ対策用問題集(PDF)はこれまでの午前Ⅱ+他区分の関係する問題を全て収録してあるので、このPDFのみで午前Ⅱ対策は問題ありませんでした。午後試験対策については後述します。


勉強方法(午前Ⅰ対策)

ITパスポートしか取得していなかった私は、午前Ⅰの基礎知識から始める必要がありました
(SC試験は「午前Ⅰ」、「午前Ⅱ」、「午後」の3つからなり、それぞれ60%以上獲得で合格となります)

午前Ⅰ対策としては、上記の翔泳社の問題集を何周も解いて掲載してある問題については完璧にしました。その際、誤りの選択肢についても誤りの理由がわかるように心がけました。

問題集の周回が終わった後は、ネットの「情報処理安全確保支援士過去問道場」さんの問題を年度ごとに時間を計って解きました。


勉強方法(午前Ⅱ対策)

午前Ⅱ対策としては上記ITECの問題集に付属してくる午前Ⅱ対策用のPDFの問題集をやりこみました。
上で記載したとおり、このPDFは支援士の午前Ⅱ全問題に加えて関係する区分(主にネットワークスペシャリスト)の問題が収録されてあるので、午前Ⅱはこれさえやっておけばクリアできると思います。(問題数は600問あります)


勉強方法(午後対策)

午後対策として、上記ITECの問題集を進めました。この本には、テーマごとに10章に分かれており、さらにそれぞれのテーマごとに学習すべき過去問の一覧がリストとして掲載してあります。

問題集自体には、その一覧の中から特に重要な問題が2~3問収録されているため、リストにあるが本に収録されていない問題が多くあります。例えば、第1章「認証とアクセスコントロール」では、29問の過去問がリストとして掲載されていますが、問題集に実際に問題と解説が掲載されているのは2題のみです。

私は、問題集に掲載の問題及び解説をまず熟読して理解し、その後、その知識を使って残りの未掲載のリストの問題を解くという方法を取りました。(計174問)

未掲載の問題については、最初は印刷せずに画面に表示して解いていたのですが、午後試験の問題文は長く、適宜線を引いたり補足を書き込んだりしながらでないと回答は難しかったので、結局全て印刷しました

第7章「セキュアプログラミング」には手が回らず、思い切って捨て問扱いにしました。

試験日までに午後問題は第7章を除いて3周しましたが、1周目は内容と解説の理解で精一杯で、2周目は回答だけをみて(解説を読まずに)理解できるレベルに引き上げることを目標にしました。

3周目は自力で問題を解きましたが、ほとんどは回答をみないと正解できない状態でした。

結果的に4週目に入る時間的余裕はなく、力不足の状態で試験に臨むことになりました。

印刷した問題
印刷した問題。約10cmほどの厚さになりました

結果:午前Ⅰ・Ⅱは通過も、午後で撃沈

本番では、午前Ⅰ・Ⅱは何とか突破できたものの、午後Ⅱで完全に撃沈。
しかも出題傾向が変わり、捨てた第7章セキュアプログラミング系の出題が多かったのも痛手でした。

午後試験は採点が甘めだという不確かな情報があったので少し期待はしたのですが、自分の感覚とほぼ同じの36点ということで、合格点には全く足りませんでした。現実は甘くありませんでした。

とはいえ、午前Ⅰで60%以上を取れたことで「午前Ⅰ免除」を獲得
正月直前の不合格発表にかなり落ち込みましたが、すぐに2025年春試験のリベンジを決意しました。

2024秋試験の結果

  • 午前Ⅰ:78点
  • 午前Ⅱ:80点
  • 午後 :36点
2024年秋試験結果

令和7年度春:再チャレンジ、午後重点の戦略で挑む

再チャレンジすることになりましたが、試験まで約3月ほどということで、そこまで時間に猶予はありません。

午前Ⅰが免除されたこともあり、今回は午後対策に全力を注ぐ作戦に変更しました。

使用教材(2回目)

●『情報処理安全確保支援士「専門知識+午後問題」の重点対策』(ITEC)

1回目受験時に使用したものと同一のものを使用しました。

●『うかる! 情報処理安全確保支援士 午後問題集』(日本経済新聞出版社)

午後問題を1問1答形式で学習することができます。定番の問題や支援士試験問題のエッセンス的文章を暗記することができました。

学習方法(午前Ⅱ)

1回目受験時と同じく、上記ITECの問題集付属のPDF問題集を解きました。1回目受験時もこれだけで80点取れていたので、午前Ⅱ対策は記憶維持が中心となりました。

学習方法(午後)

上記ITECの問題集を中心に勉強を勧めました。新しく令和7年度版を買おうか迷いましたが、書店で掲載問題を確認して令和6年度版をそのまま継続利用することにしました。

問題集は下記のとおり3周しました。周回を重ねるごとに第1回目受験よりも理解度が深まっているのが実感できました。

  • 1周目:内容理解中心。問題と解説がしっかり理解できているか。
  • 2周目:設問文を見て答えをイメージ → すぐ答えを見る。答えを見ればわかるレベルにする。
  • 3周目:時間を測ってWordで記述解答の練習。

なお、3周目の時には、前日と前々日に不正解だった問題をおさらいしてから新しい問題を解くスタイルにしました。こうすることで、記憶の定着につながりました。

通勤電車では、上記の日本経済新聞出版社の本で一問一答をひたすら暗記しました。これを何周かすることで、回答のエッセンス的な言い回しの引出しを増やすことができたので非常に有効だったと思います。

第7章セキュアプログラミングは今回も捨てました。これについては、正直、ここ最近の支援士試験がセキュアプログラミング寄りになってきているので、かなりの賭けではありました。

次もセキュアプログラミングだらけだったらどうしようという不安もありました。しかし、その他の章の内容をしっかり理解していれば解ける問題は必ずあるはずと自分を鼓舞しました。


試験当日|見慣れない用語に狼狽も答案を埋める

今回もセキュアプログラミングだらけだったらどうしよう、と不安な気持ちを抑えつつ問題用紙をめくりました。

本番では、第1問(サプライチェーンセキュリティ)と第4問(IT資産管理と脆弱性管理)を選択しました。

特に第1問では、問題文に見たことない単語が多数並んでおり、出だしからくじけそうになりましたが、今までの知識を総動員して語彙の意味を推測しながら回答をすすめました。

パット見では、今まで勉強した内容が全然活きない問題に見えましたが、根底となる考えや知識はこれまで勉強した内容が腑に落ちていればなんとか回答を導き出せるようになっていたように思います。

試験後の感想は、とりあえず出せるだけの力は出し切ったのであとは運に任せよう、というものでした。

TACから出ていた速報解答による自己採点では、60点ぴったりで、後は本当に運に祈るのみとなりました。

結果:午後75点、合格!

結果は午後75点で、合格。
出題傾向の変化に不安を抱えながらも、問題のやりこみが実を結びました。

採点についてですが、ネットでは甘めという声がありますが、私自身の感覚としても自己採点が60点ということで予想より加点してもらえたなという印象です。

ですが、前回不合格の時の自己採点はほぼ実点数と同じだったので、問題の難易度による得点調整などの影響があるのかもしれません。

令和7年度春試験の結果

  • 午前Ⅰ:免除
  • 午前Ⅱ:76点
  • 午後 :75点
2025年春試験結果

あきらめずに頑張ってよかったです。
統計情報を見ると、午後試験では意外にもやや上位での合格だったようで、これも励みになりました。

出典:情報処理安全確保支援士試験 得点分布(令和7年度春期試験) (赤枠は筆者加筆)

最後に

勉強を進めていくうちに少しずつ理解が深まり、体系的な知識が身についたように思います。
特に業界未経験の自分にとっては、午後試験に出てくる問題そのものがケーススタディとして非常に勉強になりました

捨て問にしてしまったセキュアプログラミングはこれからじっくり勉強したいと思います。

もし今、挑戦しようか迷っている方がいたら、ぜひ一歩踏み出してみてください。
基本情報技術者試験や応用情報技術者試験からのステップアップも良いですが、一気に支援士から挑戦するのも全然アリだと思います。

この記事が、あなたの挑戦の後押しになれば嬉しいです。

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