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西南戦争を巡る鹿児島旅の予習として、この本を手に取りました。
この本は、西南戦争当時の新聞などの資料をもとに編集されています。
明治10年刊行の本です。
特筆すべきは、その「史実の誤り」や「勘違い」の多さでしょう。
これは悪い意味ではありません。
当時、まだ史実としての研究も進んでおらず、あらゆる新聞紙が伝聞などをもとに報道しまくった内容を一つの物語としてつくろったものです。
これを読むと、今日まで伝わっている歴史の話もそのほとんどが「史実」とは一致していても「真実」とはかなり違うのだろうなぁと思わされます。
なお、この本には詳しい注釈がついており、作者が勘違いしている箇所や史実と異なる箇所はきちんとわかるようになっています。
その中でいくつか面白かった「誤り」は次のようなものです。
乃木希典が連隊旗を薩摩軍に取られてしまったことは有名ですが、これに関して「官軍の野津道貫が6人を斬って薩賊から旗を取り戻した」旨の記述があります。(もちろん史実ではありません)
なお、この本は官軍からの目線で書かれているため、西郷隆盛を筆頭とする薩摩軍は「賊」や「暴徒」と呼ばれます。
他にも、元資料では
「翌朝明 石釜村に至る」とあるものを誤って「翌朝 明石釜村に至る」と転記しているミスや、
「隊長 能勢弥九郎を討ち取り」を「長瀬弥九郎」と読み誤っている箇所などが面白かったです。
だいたい1ページに2,3か所の誤りがあります。
そんな当時の情報の錯綜具合も含めて楽しめる1冊になっています。
また、明治時代の挿絵が入っているため、当時の雰囲気を感じながら西南戦争を追うことができます。
鹿児島・熊本に旅行に行く前に読んでおきたい本の一冊です。
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